生き物と技術のお話

主に海についてや勉強してること、日々の独り言までいろいろなことを書きます。

小笠原遠征を振り返る 4日目

こんにちは、ゆっきーです。

 

3日目の記事から少し更新が遅れてしまいました。

小笠原遠征の続きを書いていこうと思います。

 

小笠原遠征 4日目

 

苦行とも言えた船釣りを終えたあと、宿に帰ってからは死んだように眠り続け、4日目を迎えました。

 

この日は別行動でした。K君と僕は海に潜り、とある三浦のアングラーくんはもう一度釣船に乗り、昨日のリベンジをするそうです。

 

釣りに出かけた彼を見送った後、残った僕達は宿のすぐ目の前に広がる海岸で潜りました。

 

普通区域海岸

結論から言うと、写真もなければ成果もないです。

 

今回潜ったこの海岸ですが、2日目に潜った場所よりサンゴが少なく、かつそれ以上に追い込む場所もなく、採集そのものが上手くいきませんでした。

 

また魚種も全体的に乏しく、障害物も何もない海で捕まえられたのは、Kくんが捕まえたシマキンチャクフグ(Canthigaster valentini)のみ。

 

なんでしょう?時期が悪かったんですかね?

3月に父島で潜った友人からは「そこの海岸にもユウゼンいるよ!!」と言われウッキウキで潜ったのですが、ユウゼンどころかチョウチョウウオの種類すら数える程度しかいない感じでした。

 

成魚サイズのウミヅキチョウやアケボノチョウはいました。申し訳程度のガレ場サンゴで、成魚と対等に戦えるスキルを持つ方であれば、ここでの採集は難しくないかと思われます。僕達にはハードルが高すぎた。

 

結果、普通区域での採集は諦め、海域公園区域の中では最も素晴らしいと言われる宮の浜へと向かうことにしました。

 

宮の浜

 

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宮の浜に到着しました。

父島の真北に位置し、父島と兄島に挟まれた海峡に接する遠浅の海岸です。なので多少流れがあったりする。

 

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宮の浜には特定外来生物であるグリーンアノールのトラップがたくさん仕掛けてありました。カミツキガメタイワンスジオミシシッピアカミミガメと並ぶ侵略的外来種として有名なこのトカゲ。今なお父島在来の昆虫を餌として捕食おり、駆除が進んでるとは言えその被害は未だ甚大だそうです。

もちろん彼等には罪はありません。しかし、人間の手に持ち込まれたせいで無条件に駆除されてしまうという事実の裏で、彼等の駆除がないと希少な生き物もいなくなってしまうというジレンマ。生き物を扱う身としては、少し考えさせられるものがあります。

 

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中を覗くと1匹トラップにかかっていました。既に死んでいます。

生体を見ることは叶いませんでした。

 

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こちらはツヤオオズアリという外来アリの駆除トラップ。

 

さて、そんな感じで宮の浜の周りを探索したら、いよいよ潜水準備。

ウェットスーツに着替え、カメラを持って潜ってみました。

 

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✨✨✨✨神✨✨✨✨

 

今まで潜った場所と比べて、圧倒的にサンゴの量も魚種の数も違う。5000000000000倍くらい多いです。

チョウチョウウオもかなり種類が多く、これは期待できそうだと思い沖へ泳ぎ続けること数分……………。

 

僕「……………………………あっ!」

 

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ついに、ついに出会うことができました。

 

ユウゼン(Chaetodon daedalma)です。

友禅染という染め物が名前の由来になったように、黒をベースとした体表に入った美しく優雅な模様に、鰭の先端にわずかに縁取られた明るい黄色のコントラストが美しい、そして世界中の海の中でここ小笠原周辺の海域にしか生息しない希少なチョウチョウウオです。

 

蒼く雄大な海の中で、悠々自適に泳ぐ黒い宝石を見たくて、ここまで辛いこと(就活とか就活とか就活)を頑張って乗り越え、1000kmも海を渡り、そしてようやくこの小笠原の海で出会うことができました。

 

一目見てから、追いかけてる間はずっと時間が止まったような感覚でした。おそらく1時間以上、潜っては浮上し潜っては浮上し、何枚も何十枚も、何百枚もユウゼンを写真に収めていたと思います。

 

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出会うユウゼンは大体ペアで泳いでいます。


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なんというか、珊瑚畑の中でのんびりと泳いでるユウゼンを眺めていると、もうその景色だけで満足して採集なんてどうでもよくなってきます。みんな採集なんて野蛮なことはやめよう!平和が一番!!

 

他の魚も載せましょう。

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ミスジチョウチョウウオ(Chaetodon lunulatus )

 

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ニセフウライチョウチョウウオ(Chaetodon lineolatus )

 

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ヤリカタギ(Chaetodon trifascialis)

 

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ツノダシ(Zanclus cornutus)とセグロチョウチョウウオ(Chaetodon ephippium)

 

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キイロハギ(Zebrasoma flavescens)

宮の浜では一番多く見られる魚です。関東の海で見られるモンツキハギの幼魚と色が似ていますが、モンツキハギが成魚になると真っ黒になるのに対しキイロハギは成魚になっても黄色を保ち続けます。

 

ここでは数々の魚と会うことができました。本当は他にも魚がいたのですが、それは次の記事で載せることにします。

 

洋風居酒屋「Chara

 

宿からすぐのところにある居酒屋で夕飯を食べました。

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洋風居酒屋「Chara」です。海の幸や父島名産の食べ物、おつまみまで色々なものが揃ってます。

洋風居酒屋 CHARA

 

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ウミガメの刺身です。父島ではアオウミガメを食べる文化があるようで驚きました。刺身だけでなく煮込みもメニューとして用意してありました。

予想の4億倍くらい美味しくて、友人2人からドン引きされるレベルで食べてました。東京でウミガメ食べられるとことかないかな…?ある?あったら教えてくれ。

 

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カンパチの刺身。とある三浦のアングラー君が船で釣ってきてくれてきたものです。ありがとう😊

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6kg。僕たちから見れば相当デカいですが、彼曰くもっと大きい個体を釣りたかったそう。

Charaに持ち込んでみたら刺身にして出してくれました。ありがとうございます。

 

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刺身5点盛り(食いかけ)。

さて、何がなんの刺身でしょうか?

 

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モロコの天ぷら。

正式な和名はツチホゼリと言います。ハタの仲間だったかな?(うろ覚え)

 

個人的にはこの日は大満足でしたね。やっと小笠原に来たんだって実感しました。

 

さて、そんな旅もそろそろ終わりを迎えようとしています。

小笠原遠征 最終日編でその辺りのことは書いていこうと思います。

 

答え合わせ

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刺身5点盛り。なにがなんの刺身でしょう?の解答になります。

左からカンパチ、ワモンダコ、メカジキ、ナンヨウカイワリ、カッポレでした。

カッポレ美味かったなぁ…。