生き物と技術のお話

主に海についてや勉強してること、日々の独り言までいろいろなことを書きます。

マリーナの景色、上から見るか? 下から見るか?

こんばんは、ゆっきーです。

 

例によって今回も採集に関する内容ですが、執筆にあたって少し違う趣旨で書いてみることにしました。

 

7/5(日) 神奈川県某マリーナ

 

岸壁採集、と銘打ってこの日も友人と共に採集に行きましたが、岸壁であって岸壁にあらず、今回はマリーナと呼ばれる場所で採集を行いました。

マリーナとは何かというと、ヨットや小型ボートなどのプレジャーボートを係留しておく港湾施設のことです。海面の上に区域ごとに分けられるように桟橋を浮かべ、レジャー用の船を大量に係留させられるような作りになっています。

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こんな感じの場所ですね。(画像はイメージ)

 

このマリーナですが、場所によってはなるべく多くの船を係留できるようにかなり複雑な形で桟橋が浮かべられているような場所もあります。そこに海流の当たり具合風向きなどの地形的要因が上手く加わることにより、日によっては大量の流れ藻を掬うことができたりします。

前回の記事でも書いたとおり、初夏の岸壁採集は流れ藻の有無が肝心なので、地図を見て、当たりの場所外れの場所を見極めることが大切です。

 

………………なんてご大層なことを言いましたが、そもそもマリーナは、管理者と契約し、自身の船を係留させている人しか入れない、いわば関係者以外立ち入り禁止の場所なので、そもそも岸壁採集目的で入るのは不可能と言えるでしょう。無断で入るのは不法侵入に該当します。

ある程度黙認されている場所もあるようですが、基本的にはやめた方がいいでしょうね。

 

…………え?なんでじゃあお前はマリーナで堂々と採集できてるんだよ。無断侵入してるんじゃないのかよ!

 

って思った方もいるでしょう。

 

私の大学の友人にとある三浦のアングラー(@lurefishing1012)君という方がいまして、彼が神奈川県のとあるマリーナにプレジャーボートを停めているので、そこで採集する際は同行してもらう形でマリーナへお邪魔しています。

採集しつつたまに船の掃除とかの手伝いをしたり(この前は海鳥の死骸をどけるのを手伝った)しています。

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こんな感じですね。

 

この日はちょうど4人で流れ藻の魚をとりに行こうという話になり、彼が「うちの船が泊まってるマリーナに流れ藻たくさんあるよ」と教えてくれたのでそれなら行ってみよう、ということになりました。

 

採集結果

前日にかなり強めの南風が吹いてたのもあり、ありえない数の流れ藻がありました。

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ハナオコゼ Histrio histrio

もはや定番と化した流れ藻ファミリーの一員ですが、今回も例に漏れずたくさん採集できました。捕まえた他の魚を片っ端から丸呑みするので、バケツに入れる際は隔離が必要になります。

 

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ホソトビウオ Cypselurus hiraii 

アゴ出汁で有名なトビウオの、幼魚期の姿です。この種に限らず、ツクシトビウオやザカトビウオなど様々なトビウオの幼魚たちを採集できるのも、初夏の岸壁採集の楽しみとも言えますね。

 

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シイラ(左)   Coryphaena hippurus

ルアーゲームの代表的な釣り物のシイラですが、外洋で力強く泳いでる前はこんな姿をして波の少ない漁港やマリーナ内で泳いでいます。

成魚に負けずこちらもそこそこ遊泳速度が速く、うまく掬い上げるにはちょっとした工夫が必要です。

 

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イスズミ Kyphosus vaigiensis

本州ではよく見られる魚です。別名がウンコタレ、ババタレ、クソッタレと散々な呼び方をされていますが、釣り上げられた時にすぐ糞をするのが名前の由来らしいです。

 

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イシガキダイ Oplegnathus punctatus

「1匹いたら100匹いると思え」と言われる生き物がいますが、初夏の岸壁では彼らが該当するでしょう。何にも無いところを覗いてみても健気に泳いでいます。

 

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アミモンガラ Canthidermis maculata

成魚の姿が特徴的なモンガラカワハギの一種です。網を向けてもあんまり逃げないのでとても捕まえやすい。

モンガラカワハギ科の中ではかなり広い生息範囲を持つようですね。

 

マリーナの強みですが、漁港のように外周が陸、真ん中が海、みたいな構造ではなく、養殖生簀のように海面を覆うように敷かれているので「あそこの流れ藻届かないなぁ……」というのがほとんどありません。届かなければ桟橋の上をちょっと移動すれば流れ藻を叩くことができます。

なおかつ桟橋は海に浮いているので、干潮だろうが満潮だろうが高低差関係なく網を伸ばせます。大潮の干潮で、漁港から海面が遠すぎて流れ藻に網が届かないなんてことは一切なし。なんならもう漁港行かなくていいんじゃないかな、うん。

 

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そしてこんな珍客も。

色彩変異型のハナオコゼです。真っ黒。

 

さて、こんな感じで表層に流れ藻があれば多様な種を見ることができるマリーナですが、海中の中はどうなっているんでしょうか?

 

というわけで潜ってみました。

 

マリーナで潜るなんてなんて危ない行為をしてるんだ!迷惑だろ!

って思う人も多いと思います。

 

8/9 神奈川県某マリーナ奥 湾内

 

まあ流石にマリーナからドボンと飛び込んで潜るのはしません。船あるし、危ないですし。

一応友人に聞いたら船舶関係者は船のメンテナンス(特に船底のフジツボ剥がし)等で潜る人もいるらしいので、許可を得た上で関係者の立ち合いの元マリーナで潜るのはまあ大丈夫なんじゃないでしょうか。もちろん常識の範囲内での話です。

 

実はこのマリーナ、磯に囲まれるようにして作られています。マリーナには入らず外周の磯を歩いて奥へ向かっていくと穏やかな湾になってる場所があります。

ここは浜とマリーナが岩で区切られてるような地形をしてるので、ここで潜ればある程度海の中の様子もわかるということです。

 

この日も、とある三浦のアングラー君と一緒に潜ってみました。

 

採集結果

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マツダイ Lobotes surinamensis

海面を横向きに浮くように泳ぐのが特徴です。枯れ葉に擬態してよく漁港とかに浮いていますが、今回は普通に海の中から網に入れました。

 

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シマハギ Acanthurus triostegus

熱帯地方の海のサンゴ礁で群れで泳いでるイメージが強いこの魚ですが、夏場なら関東近辺の海でも幼魚を見ることができます。見た目から英名でConvict(囚人)って呼ばれてるらしいです。

 

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モンツキハギ Acanthurus olivaceus

黄色い体色が特徴的なハギ(ニザダイ科)の仲間です。成魚は黒い体色に、エラのあたりに赤い線が入る見た目をしており、幼魚期とは姿が異なります。明るい黄色なので岩だらけの神奈川の海の中では映える色をしています。

 

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サザナミフグ Arothron hispidus

タピオカ」の愛称で採集家からは親しまれてますね。体を丸めて浮くことで木の実に擬態してるそうです。かわいい。

 

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オヤビッチャ(左)   Abudefduf vaigiensis

よくいるやつ。食べると美味しい。

(雑ですみません)

 

こんな感じでした。

別にマリーナだから特別、というわけでもなく、海中の景色はよくある神奈川の岩と海草が点在してるような感じでしたね。

チョウチョウウオナミチョウしかいませんでした。別の場所ではたくさんセグロチョウチョウウオが出ていたそうで、羨ましいですね。

 

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とある三浦のアングラーくんは初めてナミチョウを捕まえてました。おめでとう🎉🎉🎉

 

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特にこの子を捕まえることができたのが嬉しかったですね。前にも書いた通り私は素潜り採集のセンスは1ミリもないのでうまく岩場に追い込むのは苦労しました。

ちょうど斜めになってる亀裂に立て篭もったので左右に網の先端を差し込みガチャガチャやったら驚いて網の中に入ってきました。戦略が光りましたね。

 

というわけで今回はとあるマリーナの様子を、海の上と下から見てみました。

 

本当は伊豆に野宿してでも行きたいくらい採集のモチベは高いですが、コロナ第二波のせいでそれも叶わなさそうです、辛い。

そんな中でも行ってる人は行ってるしいいんじゃないかなとも思いますけど、やっぱり少し気は引けてしまいますよね。

あとは10月にとある計画を立てているため、何がなんでも今は自分がコロナに感染するわけにはいきません。これを達成できないと学生生活の中できっと深い後悔を作ることになりそう…。

 

しばらくはなるべく近い神奈川で定期的に潜っていこうかと思います。

それでは。